二畳半生活

ぼんやりとした概念を具体化する作業途中です

写真の話

 東京国立近代美術館で開催されているジョセフ・クーデルカ展に行ってきた。久しぶりの展覧会は思った以上に面白いものが見られてよかった。個人的にはエグザイルズという題目で飾られていた写真がどこにもいけない雰囲気のようなものをはらんでいて、なんだかすとんと身におちた。写真は現実を映す機械であると同時に使い手にとってはそれ以上の意味をもつ道具になるのだと月並みなことを考えながら岐路に着いた。

 それと同時にもう1つ写真についての思い出を。これまで白黒写真はカラー写真に比べ情報量が少ないものと思っていたのだが、先日如庵の白黒写真を見た。偏見だが茶道界に持っているお金持ちの高貴な趣味といった雰囲気はあまり漂ってこずに、なんだか自分の身にとどめておきたい寂しさのようなものがそこに漂っている気がして、ストイックなこじんまりとした印象よいなぁと思ってしまった。その後さらに興味が湧き、如庵についてグーグル先生に教えを乞うたところ、クリーム色の壁のかわいらしい茶室がでてきた。白黒写真から彷彿とさせるようなストイックさは消失してしまっていた。もともと如庵は織田有楽が晩年隠居の際に作った茶室と言われている。彼自身戦国の世を70年以上生きた傑物であるのだから茶室にストイックさを求めたわけではないかもしれない。またはのちの時代を経る中で壁の色が変化して今のような温たかい茶室になったのかもしれない。まあそれはおいておいて、あの物寂しい壁の色は白黒写真の中にしか残っていないのだ。