『イノベーション・スキルセット 世界が求めるBTC型人材とその手引き』読書メモ
この3月から4月にかけて、目に見える形で日常が非日常へと変換され、社会の転換点に立ち会っているような気分です。終わりがわからないことにつらく、こわく思うこともありますが、今は出来る限りの衛生対策をしつつ、引きこもりを出来る限り楽しもうと思います。
というわけで積読消化を進めた成果の久しぶりの読書メモです。
田川欣也著『イノベーション・スキルセット 世界が求めるBTC型人材とその手引き』
・本書の概要
・感想
について書いていきます。
●本書の概要
本書はTakram代表取締役の田川欣也氏の著書です。興味をもったきっかけは大学時代の授業で著者の作品が紹介されており、なんだかかっこいいな、と思ったことからで、内容ベースではありませんでした。
本書は5章構成になっており、これからの時代に必要になるであろう、経営・技術だけでなく、デザインの能力も身に着けた組織・人材の必要性について、またどのように育成すればよいのかが順序だてて記載された内容です。
細かい各章内容の要約は以下の通り。
第1章:ユーザーサブスクリプションなど新しいビジネスモデルの出現、商品の多様化といった背景を説明。産業によっては、従前のビジネス、テクノロジーだけでなく今後デザインを含むクリエイティビティな人材・組織も獲得、これら3分野が連携したBTC型の組織となる必要性について説明
第2章:これからのクリエイティビティを身につけたイノベーション人材に必要な能力、特に組織としてのその能力の育て方について具体例を用い記載
第3章は:会社、組織がBTC組織となるためのデザインの基礎知識 (デザインの3分野、デザイン思考など)についての内容
第4章:個人がBTC型人材になるための最初の第一歩について、ほとんど費用のかからない具体例なトレーニング方法つきで記載
第5章:具体的なBTC事業の進め方について、実例3点付きで解説
●感想
以前買って積読していたものですが、読み始めるとデザイン領域になじみのない自分でも、さくさく読める分かりやすい内容でした。また、概要を読むと経営者向けの内容といった印象を受けるかもしれませんが、一社員が読んでもこれまでに無かった考え方に知識欲が刺激されて面白いです。
・話の筋道がハッキリととしている。
・読者のなじみのない話には用語解説や具体的な事例をいれ読者を迷子にしない。
・時々記される図がわかりやすい。
・本文の配置も行間が広くとられており見やすい。
点が読みやすかった理由かと感じました。
4章で出てくる頭の中やほぼ身近にあるものできる「モノとモノサシ」や「ふせんトレーニング」などのセンス、アイデアの発想力の鍛え方、特に5章に出てくるプロジェクトの進め方を読むと、今の職種とは直接は関係ないのですが、自分もイノベーションスキルを磨いて、手を動かしてものを作ってみたいと思わせられました。
特にずしんときた言葉は、「分からないなりにもコミュニケーションをしよう」です。
読み終えるとなんだかやる気が湧いてくる本なので、内容を程よく忘れたころに読み返したいです。あと本文中に多数の参考文献、参考資料がちりばめられていて勉強になったので気になるもの(デザイン思考の本など)は今後読んでみます。
(おまけ)
なお、前回の記事で記載した国立近代美術館に展示されている黒田辰秋作の椅子ですが、2月末に滑り込みで写真を取りに行けました。
同じく滑り込みで今年の2月中旬に京都まで行ってきたので、この時の楽しかった思い出もいつかブログに記録したいです。