二畳半生活

ぼんやりとした概念を具体化する作業途中です

『知ってるつもり 無知の科学』読書メモ

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年度は記事の更新が5本の指に収まる程度だったので、今年はその倍、10回のブログ更新を目指していきたいです。

 

 更新が滞る原因として、自分の場合は本を読む時間が確保できていない、本の内容を文字にするのがおっくう、の2点がハードルになっていると考えました。

 対策として、筋トレも兼ねて鞄に常に本1冊入れる、低クオリティでも書いたもの勝ち、最初から上手く作れる人はほとんどいない、を心がけ、自分なりにペースを作って習慣化していきたいなと思います。

 

 さて、新年最初の読書メモは、スティーブン・スローマン、フィリップ・ファーンバック著の『知ってるつもり 無知の科学』です。

 

 こちら、購入した書籍に全面帯がついており得した気分になりました。帯だけに表紙裏表紙ともに推薦文たっぷりの賑やかなデザインです。なお、著者、翻訳者より推薦者(ユヴァル・ノア・ハラリ氏、佐渡島庸平氏、森川亮氏など)のほうが名前が大きく書かれており、それだけ著名な推薦者は本が売れる材料になるのかと勉強になりました。

 

 感想ですが、序章、1章の吸引力がすごい本です。

 ソクラテスの有名な言葉に無知の知があります。無知の知という言葉を知っていても人間は謙虚ではいられない、知ったつもりでいきているという「知識の錯覚」をあらわにするために、第五福竜丸事件が起きてしまった理由、トイレの水が流れる仕組み、ファスナーの仕組み、自転車を描こうとあらゆる例を使ってきます。読んでしまったが最後、本のペースに載せられ見事に自分の無知が暴かれてしまいます。

 その後の勢いで、無知なのに知ってるつもりはなぜ起こるのか、そもそも我々はどのように判断するのか、チーム上、機械を利用した場合、社会的コミュニティ上ではどのような判断が行われやすいのか等のいくつかの主題について、具体例を伴って説明されます。

 

 取り上げられている話題が豊富で、ブログ1本ではまとめきれないため、気になったらばこの本を読んでくださいが一番適切な回答になるのですが、読んでいて面白かった主張をいくつか書いて結びとします。

 

・見たことあると説明出来るは異なる

 (テストの成績が思っていたより悪い理由はこの見たことあるを知っているに錯覚することによるそうです。見に覚えがありすぎる。)

・物語は因果関係、教訓だけでなく、物事に対する姿勢も伝えている。

 (歴史学の意味に対する1つの回答ではないかと思いました。ただしその後著者が物語はときに過剰に物事を単純化すると記してる通り、限界もあるとは思いますが)

・ジャスト・イン・タイム教育

 (知識はちょうど必要とする時に情報を得ると役に立ち、学んだ内容を実践するため定着も早いというもの、まさにその通りと思いました。)

 

追記:なぜこの本を読もうと思ったのか。

 昨年は行動経済学の本を何冊か読み、この分野の研究結果が自分にもたらした意識の変化に驚いた年でした。

 人生を変えたと書くと怪しいセミナーか学習教材勧誘のおまけ漫画のようですか、特にダン・アリエリーさんの著作を読み、人間の頭の悪さ、不合理さ、親切さそしてずるさを知ることで、人生が大分生きやすくなりました。

 スーパーの1,000円以上買い物で割引券配布の言葉に載せられ余計な買い物をしたとき、確定申告などやらなければならないのにやりたくない仕事を先延ばしにしたとき、もう読み返す事はなさそうな本を捨てることも売ることも出来ず本棚のこやしにしてしまっている等の、日常のささいな失敗に説明がつけられ、失敗しても自己否定しすぎないようになった気がします。

 

 そんな明日からでも使える行動経済学の本で、次になにか面白い本は無いかとインターネット状を探していたときに、ぶつかったのが認知科学の分野です。

 認知科学とは、人間の知的システム、知能の働きを解明しようとする研究分野です。行動経済学が実験等により観察された結果を経済学の数理モデルに落とし込む学問に対して、認知科学は人間の考え方の仕組みそのものを研究対象にしているようです。

 完全に分けられるものではないでしょうが、行動経済学の中でも経済学的な話より心理学的な話の方が読んでいて興味を持つことが多かったので、今度は認知科学の本を読もうと思い、書店で激押しされていたため、新しい本も良いかと思い手を出しました。

 その点では、まだ認知科学とはなにか、が上手く説明出来ないので、次は認知科学の基礎的な内容が中心の本を読むのが良いかなぁと思いました。