二畳半生活

ぼんやりとした概念を具体化する作業途中です

『予想どおりに不合理』感想その1

 ダン·アリエリー著の『予想どおりに不合理』を読んで思ったことを書きます。

 本書で取り扱っている主題は行動経済学ですが、人間の癖(考え方、行動の癖)とお金についても本書では大きく述べられています。私は特に読んでいて、お金について書かれた部分に興味を持ちました。該当内容を要約すると次のとおりです

 

 モノの価値評価について、新しい製品の価格の決められ方、社会規範と市場規範、無料に弱い人間、価格とプラシーボ効果、電子取引と現金の違い、等等

 複数の面白そうな問題を取り上げているている本書ですが、中でも電子取引と現金の違いについて実体験もあり考えさせられました。

 

 本書で著者は、現金に比べて代用貨幣や電子商取引は不正が起こりやすいと述べています。理由としては2点あり、①特に電子取引の場合物理的なやり取りがないこと、②代用貨幣では現金に比べて良心が働きづらく、不正が可能な状態では衝動的行動をしやすいことを上げています。後者の例を示すと、共有の冷蔵庫にビールがある場合と500円玉がある場合、前者の方が盗まれやすいというものです。

 最後にこれから電子取引がさらに盛んになる中で、どのように不正を抑制していくかが課題であると述べています。

 実感として現金に比べて、クレジットカードの方が衝動的にお金を使いやすいように感じます。(店舗に行きほしいものを持って帰る手間に比べてネット通販のがお手軽というのもある)

 ただ、読んでいて引っかかったのは現金自体も元は金、銀等の代用品であり、価値を持ち出したのはここ数百年の時代からです。

楽観的かもしれませんが当たり前電子取引が当たり前の時代で育った世代になると、現代人には薄い代用貨幣に対する良心も自然と生まれるんじゃないかと思えました。

 ただ、現金と資本主義の発展が同時期なことを考えるとそう簡単にもいかないのでしょうか。

 あと、現金もって駄菓子屋行ったりとか、親からの指摘とか幼児期の価値あるものという刷り込みの、倫理感への影響は大きいかもしれません。

 

 最後ですが興味深い本だったので、また考えがまとまったら何か書きます。なので感想その1。