二畳半生活

ぼんやりとした概念を具体化する作業途中です

『不合理だからうまくいく』読書メモ

 こうも蒸し暑い日が続くと会社に行って帰ってくるだけで疲れてしまい、日々だらだらと何も生産せずに終わりそうです。

 そんな自分に活を入れるためにも1ヶ月1本くらい文章を書こうかと思います。習慣化は苦手ですが続くといいな。

 

ダン・アリエリー著『不合理だからうまくいく 「行動経済学で人を動かす」』を読み終えたので忘れないうちに感想です。

副題からわかるように、行動経済学の本です。ちなみに行動経済学とは、人助け、リスクの軽視等、実際の人間は合理的な経済学での仮定の通りには動かない現実を踏まえ、人間がどのように行動するのか観察によって理解しようとする学問です。

簡単に書くと人間が実際はどのような原理で行動し、判断するのかを努める学問であり、知っていると生活の中で判断する際の助けになるように思います。

 

実はダン・アリエリーさんの著書を読むのは2冊目です。以前読んだ『予想通りに不合理』からの次回作なので出版された順に読んでいますが、ノンフィクションかつ難易度はどちらも同じくらいなので内容はどちらから読んでも問題ありません。

 

内容の違いとして、著者は前作は人間がもつバイアスのうち不合理な面を掘り下げたものであるのに対し、

『不合理だからうまくいく』は不合理性を掘り下げて、良い面を広げる内容にしたこと、またこちらの方が取り上げているテーマに、個人的な色合いが強いと、序章で紹介しております。

個人的には前著は交換、売買といった経済的なテーマが多かったのに対し、本作は人の感情のようなより心理的なテーマを多く扱ってるように感じました。

 

●感想というか気になったところ

□無駄作業はやる気をそぐ

上司の指示で資料を作ったけれど、状況が変わりあなたが作った資料は使いません、という経験がある方もいるかと。

実感通りそのような経験は発生する給料に変化がなくとも仕事に対するモチベーションを大きく引き下げます。

逆に仕事に意味を与えるとのモチベーションは高まります。

上のような状況の場合のモチベーションの保ち方がわからないのですが、自分で意味を見つけるなり、修行だと思うしかないのでしょうか。

 

□辛いことは一気に楽しいことは休み休み

夏休みの宿題の片付け方は大きく分けて、1最初に一気に片付ける、2日々コツコツ解く、3最後に急いで終わらすの3種類があるかと思います。

行動経済学の知見を使うと、夏休みの宿題の苦痛が小さいのは1,3のパターンということです。一方的夏休みの楽しみの効能が一番高いのは宿題というインターバルを挟んだ2なので、どのように宿題を片付けようと夏休みは楽しいという結論が出ました。

 

冗談はさておき私は漫画等はよく一気読みをしてしまうのですが、1巻づつ読んだ方が効能が高いので今度試してみようと思います。

 

あとこの考え方を準用すると、買い物は一気に買うよりも少しづつした方が同じ額の買い物によって得られる効能が長続きするとのことです。

高いものを買うと判断基準のアンカーが高いところに位置してしまいすぐにまた別のものが欲しくなリますが、ここは一旦幸福感が消えるまで待ってから買った方が幸福感のコスパが良いそうです。

これは人間死期がわからないので、幸福感のコスパを考えて買い物をした方が、総量が多いとは限らないため行動に移すかは個人次第ですがお金を貯めたいときは使えそうです。

 

□感情によって判断・行動が変わる

結論からかくと、何らかの感情が高ぶっているときは特に重要な決定は下さないほうが良いということです。

理由として、実感に非常に近いですが、例え理不尽に怒られる等不愉快なことがあると、そのことが終わった後も別の決定がその感情に支配されることがあります。感情により普段とは違う行動を起こすことがあるのです。

その決定への影響は一時的なもののように思いますが、「普段と違う行動」という前例を作るということは非常に影響が大きく、この前例が不愉快な感情を忘れた次回以降の決定にも影響を及ぼしかねません。

嵐が過ぎ去るのを待ちましょう。

 

 最後に余談ですが、現在、行動経済学ダニエル・カーネマン著の『ファストアンドスロー』と、アリエリーさん3冊目の『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』も少しづつ読んでいます。

なぜこんなに行動経済学の本を読んでいるかという理由として、著者が述べるような知識が判断の助けになるという理由以上に、脳や人間の癖がわかると、行動で失敗したときに、行動経済学の事例に当てはまっていたら「これは人間の癖だから仕方ない、次は気をつけよう」という風に気分を切り替えられるからです。

行動経済学は失敗すると落ち込みがちな人間にはありがたい知識であり、失敗を許せることで挑戦も増えるのではと期待しています。

 

ともあれ行動経済学は面白いぞ!

また次も読んだら感想を書きます。